行政書士を独学だけで合格したいなら、“テキスト選び”が最も重要なポイントになります。
なぜなら、試験対策用に一冊にまとまっている、一般的にも薦められているようなタイプの参考書を使った時点で、
“初学者には理解できない”
からです。
まずこの時点で多くの独学受験生は挫折します。
このページでは完全に独学で合格した僕の経験から、同じく独学受験生向けのテキストの選び方等々について解説していきます。
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そのポイントとは、
1、本屋へ行って自分の目でテキストを確認する。
2、独学で合格したいなら行政書士のテキストを買ってはいけない。
1はそのまんまですが、問題は2です。
「行政書士を受験するのに行政書士のテキストを買ったらダメなの?バカなの?」
その疑問ももっともです。
ですが、これが非常に重要な事なのです。
本屋の資格コーナーへ行けば、行政書士受験用に作られたテキストは、それはそれはたくさんあります。
有名な資格スクールが出版しているものもあれば、元試験官が監修しているような本までさまざまです。
ネットで誰かが「おすすめ!」と紹介している本もあるでしょう。
そして、その中でどれを買おうか迷うのが普通なのですが、独学で短時間合格を目指すなら、どれを買っても間違いです。
なぜなら、それらのどのテキストも初心者が独学で勉強する事を前提として作られていないからです。
スクールのように講義を受けながら読んだり、元々法律について大学などで勉強したことがある人が、やっと読めるようなものです。
法学ド素人だった僕が、この目で確かめたので間違いありません。
ムズイし、基礎的な前提が抜けてるんで、絶対無理!って言い切ってもいいくらい。
これだけでマジで、勉強時間が2倍にも3倍にも伸びると言っても過言ではないからね。
あと、普通に理解できなさ過ぎて心折れます。3回くらいは。
繰り返しますけど、試験用の参考書というのは、「ある程度試験範囲が情報として網羅されている」だけであって、
決して「初学者がちゃんと理解できる」ようには作られていません。
正確には「初心者にも優しい」という雰囲気だけ漂っていて、中身は全くそうはなっていないのです。
なので初心者で、しかも独学で目指しているような人が買うべきテキストでは決してありません。
そりゃあ独学なら1000時間もかかるわなぁ、といった感じです。
これこそ、独学では合格できないと言われるゆえんなのだろうと思います。
それは、まず本屋に入って、資格のコーナーではなく法律の参考書のコーナーへ足を運んでください。
憲法なら憲法、民法なら民法の参考書が数多くあります。
その数多くの参考書の中から、自分でも理解できそうな内容のもの、かつ試験範囲を網羅できていそうなもの(まえがきを読めばある程度わかるはず)を選んでください。
選ぶ参考書は、
・法律の基礎知識
・憲法
・民法
・行政法
・会社法
の5つは欲しいところです。
そして、次にやっと資格のコーナーへ行って、過去問の問題集と判例集を選びます。
参考までに僕が実際に勉強したテキストを載せます。
(選ぶのが面倒な人は、もうこれをそのまんまパクってもいいです・笑)
※この参考書はマジでおススメです。憲法とか民法とか、具体的なものを学ぶ前にまず一読しておくと、その後の理解度が3倍くらいになります。
(僕が読んでいたのは第2版が最新の頃ですが、新しいバージョンが出ていますのでそちらのリンクを載せておきます。)
※僕が使ってたのは『憲法がわかった』というシリーズで、今まではそれを紹介してたんですが、僕のメール講座の読者さんから「よくわかるシリーズの憲法のほうが断然わかりやすかったですよ!」というコメントを多数いただいていますので、今から参考書を買う方はよくわかるシリーズの方が良いかもしれません。(「憲法がわかった」はアマゾンのレビューでも評判悪いですしね)
でも正直、憲法に関しては条文自体も短いし、他の参考書(基礎法学)と判例学習で理解を深めるのがメインの方法なので、テキスト自体は実はあまりこだわらなくてもいいかもしれません。
これはガチでおススメ、というか試験対策テキストで一番むずいのは実は「民法」です。
だけど、これはわかりやすい。必須の参考書です。
行政法は、「行政」と名のつくように行政書士試験の中でも最重要科目です。
だけど、これもマジで難しい。。。
僕は最初「民法」で心折れかけて、「行政法」でたたき割られました。
試験対策テキストでね。
でも、だからこそ「もうこんなん無理やから」と、試験対策テキストを捨てて(※比喩)、
新しく参考書探しの旅に出たんですね。
それでたどり着いたのがこの本です。
僕が受験時に使っていたものはもう絶版になってますので、ここではリンクは載せられませんが、
重要なので言っておくと、行政書士の試験対策では、
“判例学習は必須!”
です。
もちろん各種参考書にも判例は取り上げられて解説はされているものの、判例知識の幅広さと確実さが得点に直結します。
これ判例知っておかないと無理だね、なんて問題が大半だし、参考書に掲載されていない判例が問題になることもザラ。
だから判例集は必須なので、何か一つは必ず持っておきましょう。
いちおう、有名どころだとこれがわかりやすいと評判です。
(が、判例の説明は判例の説明なので、正直どれも大差は無いと思います)
あとは言わずと知れた過去問。
「過去問の活用方法」のページでも説明しますが、過去問集の「解説」は基本的に“読みません”。
なので、過去問集は5年分程度あればどれでも可です。
あとは過去問の5年分けだと問題演習の量に正直不安があるので(5年って結構少ないですよ)、
各出版社からでている予想模試を活用して、演習量を増やしていくのがおススメです。
有名どころだとLECを僕もかつて使っていました。
以上が僕が“使った”参考書の一覧になります。
「会社の方のテキストがないよ!」
と気付いた方もいると思いますが、
会社法の科目は行政書士試験の300点中、20点しかないマイナー科目なので、僕は捨て科目にしました。
それでも捨てきれない!という方は本屋に足を運んで探してみても良いと思います。
※追記
行政書士の勉強に必要な「六法」についてはこちらのページに追記していますのでご参照ください。
「行政書士 六法について」
さて、ここまで参考書を揃えれば、おおよそ15,000円くらいの出費になるかと思います。
大手資格スクールの受講料が20万円くらい、人気の通信講座の受講料も5万円前後なのでそれに比べれば超格安ですね!
そして、全ての参考書を揃えたらこう思うでしょう。。
「分厚っ!!」
そうです、行政書士のテキスト一冊に比べると何倍もの分厚さになります。
思わず圧倒されてしまいそうなページ数になってしまいますが、大丈夫です。
安心してください。
わかりやすいテキストは意外とすらすら読み進められるので、思ったほど時間はかかりません。
しっかりと情報が載っている分、理解の度合いも、試験対策用のテキストとは比べ物になりません。
“理解できない500ページより、理解できる2000ページ”
数は少ないけど、全然ピースが足りていないパズルに取り組むのか、
数は多いけどちゃんとピースが足りてるパズルに取り組むのか、
どちらがマシか?
といえば、僕はまだ足りてるほうが良いと思うのです。
流石にピースが足りてないパズルなんて、やる気起きないですよね。
さて、テキストをそろえたら次は勉強計画を立てます。
「ご利用は計画的に」ではありませんが、何事にも計画性というものは大事です。
計画を立てたって計画通りにいくわけではもちろんありませんが、一種の道しるべとなります。
ですので、計画は最初にかならず立ててください。
まず最初に、計画を立てるときに大事な3つのポイントがあるのでそれについて説明します。
3つのポイントとは、
1、計画はざっくりと立てる
2、テキストは2回以上読めるような計画を立てる
3、直前1〜2カ月は過去問に集中する
ひとつずつ説明していきます。
まず、「計画はざっくりと立てる」ことが大事です。
計画を立ててもその通りにいくわけではないことは先ほども述べた通りですが、計画が細かければ細かいほど、それだけ柔軟性を失います。
そしてなにより、計画を立てるのに時間がかかりすぎます。
計画を立てることに長い時間を使っていてもしょうがないのです。
だから、計画はざっくり立てて、そして仮に計画通りいかなくなったとしても、素早く修正できるように簡単なものにする。
(どうせ計画通りにいくわけではないのですから。)
ざっくり立てて、ざっくりそれに従えばいいのです。
イメージ的には、最初の一か月に基礎法学と憲法を勉強して、二か月目に民法、三か月目に行政法・・・といった感じです。
どうです?とてもざっくりでしょう?
そして、もうひとつ重要なポイントが、「テキストは2回以上読む」ということです。
1回目は、時間をかけて内容を理解できるように熟読する。
2回目以降は、理解した内容を思いだすためにさっと読む。
この二つの作業を経ることで、ようやく内容を記憶する事ができます。
内容を理解せずに何回読んでもダメですし、いくら理解しても繰り返し思いださなければすぐに忘れてしまいます。
なのでテキストは必ず2回以上は読める計画をたてましょう。
2回目以降は思いだすためにさっと読み返すだけなので、1回目でしっかり理解できていれば、2回目は2倍程度のスピードで読み進められるでしょう。
そして、最後に重要なのが、「試験直前は過去問に集中する」ことです。
テキストでどれだけ勉強して知識がついたとしても、問題を解く練習をしない限り、試験でも問題を解くことはできません。
過去問の活用の方法については、後ほど詳しく説明していきますが、ここではまず、試験の直前1〜2カ月を過去問を解く期間として計画に割り当てておいてください。
さて、以上のようなこと考慮して計画を立ててみてください。
参考までに、僕が半年の期間で立てた計画を載せます。
1ヶ月目:基礎法学、憲法
2ヶ月目:民法
3ヶ月目:行政法
4ヶ月目:憲法/民法(2回目)
5ヶ月目:行政法(2回目)、過去問、判例集
6ヶ月目:過去問、判例集、一般知識対策
(実際に最初から最後までこの計画通りに進んだわけではありません。当然途中で何度か修正はしています。)
では次に、揃えたテキストの「読み方」についてですが、
基本的にテキストは“読むだけ”で大丈夫です。
だけど、“しっかり読んで”ください。
テキスト選びで間違っていなければ、それだけで知識はつきます。
(別に声に出して読む必要はありません。)
だから、この勉強方法では「どんな時でも」「どんな場所でも」、テキストを読む暇さえあれば基本的な勉強はできてしまうのです。
電車の中でも、仕事の休憩時間でも、公園のベンチでも、デートの待ち合わせ中でも。
前のページでも言及していますけれども、
“隙あらば勉強する”
というのがたった一つのルールなので、どこに行くにも何かテキストは携行しておきましょう。
読むだけで理解が進むものであれば、場所も時間も選びません。
逆に、読んでも「理解できてる!」という感覚がなければ、それはテキスト選びで失敗しています。
既にお伝えしたように、行政書士を受験する独学の人は、このテキスト選びで失敗している事が、合格できない決定的な要因なのです。
このテキスト選びで失敗すると、250時間の勉強で充分なところが1000時間にも増えてしまうという、恐ろしいほどの時間の無駄遣いをしてしまうことになりかねません。
ですので、仮にテキスト選びで「失敗したな〜」と感じたなら、すぐさま他のテキストを探してください。
無理して失敗したテキストで何百時間も勉強するより、他のテキストを探す数時間と数千円を犠牲にしたほうが遥かに効率的ですし経済的なのです。
次に、赤ペンでのチェックについて触れたいと思います。
よく、テキストを読み始める最初から赤ペンで熱心に重要なところをチェックしている人が多いようですが、個人的には独学でそれは推奨しません。
スクールなどでは、ここは大事だからと先生が赤ペンでチェックする事を進めることはあるでしょう。
しかし、独学では教えてくれる先生はいません。
そもそも、何が重要なところなのかを最初からわかるはずがないのです。
ではいつ分かるようになるのか?
それは最後の段階。試験の直前です。
テキストを納得いくまで何度か読んで、その後過去問に取り組むというのが、いつもの僕の流れ、そして僕が推奨する流れですが、
過去問に取り組んでいるまさにその時。
その時にようやく赤ペンを取りだす事を許されるのです。
過去問を何年分も解いていけば、どのようなところが出題されやすいのか?どのようなポイントを押さえていれば問題が解けるのか?
そういったことが“自然と”肌で感じられるようになります。
それを経て、やっと“何が重要なのか?”がわかってくるのです。
テキストに赤ペンが入るのはその時です。
まあ、何が重要なのかでいえば、参考書に書かれている内容は大体全部重要なんですけど、
全部重要だからって全部チェックしまくってたら、もはや赤ペンで強調してるかわからんくなりますよね。
だから最後のあたりで、もう一通り勉強してまっせ、過去問にも複数回取り組んでまっせ、
でもそれでも、
「ここだけはよく間違えるんだよな〜」
「ここが覚えきれないんだよな〜」
っていうのは必ず残るので、そこをチェックしましょう、ということですね。
最後に、勉強に際してノートを取るべきかどうか問題というのがありますが、
これも個人的には行政書士の試験勉強ではあまりお勧めしません。
それはなぜかというと、
・時間がかかる。
・行政書士試験の大部分はマークシート試験
この二つが大きな理由です。
確かに、ノートを取ったほうがノートを取らないよりは頭に残りやすい“かも”しれません。
学校の先生が必死に「黒板をノートに取れ。」とはよく言ったものです。
しかし、学校教育における「ノートを取る」という行為は、どちらかというと“ちゃんと勉強しましたよ”という証拠を残す色が強いと僕個人は感じています。
お母さんが子どもに、
「ちゃんと学校で勉強した?」
「うん!勉強したよ!ほらこんなにノートに書いたよ!」
とまあ、ノートを取るというのはこんなときに役に立つわけであって、高い学習効果があるかどうかというのは別問題なわけです。
そして僕自身は、大した学習効果を感じていません。
もう少し厳密に言えば、試験によっては、
・記述式試験
という、「ザックリ問われて、詳細に文章を記述していく」というタイプの試験があります。
こういう場合は、また勝手が異なるので、試験勉強として大量にノートに書きながら勉強しておいた方が、より“アウトプット力”が鍛えられて有効だったりしますが、
繰り返しますけれども、行政書士試験の大部分はマークシートです。
記述問題もありますが、40字程度で回答すればいい簡単な形式です。
こういうタイプの試験の場合は、より厳密に記述できることよりも、広く知識がインプットできているかが重要になってくるので、
“書く暇があったら読め”
的なる対応が効果的であることが多いのです。
補足ですが、これは僕が個人的に主観的に感じている事なので、僕以外の人は、それぞれ違うように感じている事も否定できません。
「ノートに書くとよく覚えられるぜ!」
という人も少なくはないかもしれないので、こればっかりは効果を感じている人だけがノートを取りながら勉強すれば、それで構わないと思います。
だけど僕の、というかこのサイトの勉強法の最も重要な一つのルールは、
“隙あらば勉強する”
ことなので、ノートを取る前提だと時と場所を選びますよね。
それがネックで勉強のカベになるくらいだったら、もう全くノート取らなくてもいいや、という前提でどこでも勉強したほうが良いように思うのです。
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